漫画「ロダンのこころ」内田かずひろさん 3年前に一瞬ホームレスに…「不安が当たり前。不安が平常心です」

公開日: 更新日:

内田かずひろさん(漫画家/59歳)

 かつては大抵の家庭が新聞を取っていた。堅苦しい記事が多い新聞のなかで、漫画はホッと一息つける存在だった。1996年4月から朝日新聞に連載されていた、犬が主人公の「ロダンのココロ」も、犬から見た家族や人間の姿が描かれ、ほのぼのとして癒やされ、少し哲学的でもあった。描いていた漫画家・内田かずひろさんは今、どうしているのか。

「この3月に、4コマ漫画とエッセーで構成する『ロダンのココロ国語辞典 と、言葉をめぐる僕の視点』を出版しました。4コマ漫画の本を出すのは久しぶりなんです」

 東京メトロ・新宿三丁目駅直結の喫茶店内の会議室で会った内田さん、まずはこう言った。

「最近は出版社を頼らず、SNSで漫画を発信してデビューしたり、ヒットしてアニメにまでなったりする時代。僕はだんだん絵の仕事が減ってきて、去年は全然仕事がなかったから、4月からツイッター(現X)で『ロダンのココロ』の新作4コマ漫画を発信し始めました。でも、期待したほどには広がらない。そんなとき、『ホームレスの経験などをエッセーに』と依頼してくれた大和書房の編集者を思い出し、連絡したらこの本の出版につながりました」

 内田さんは3年前の1月、ホームレスになっていたのだ。

「ほんの一瞬なんですけどね。住んでいたアパートが建て替えだというのに、歌人・枡野浩一さんとの共著『みんなふつうで、みんなへん。』の挿絵を描いているうちに退去日が来てしまって……。公園で、寝袋で寝るハメになってしまいました。僕は目の前のひとつのことに集中すると、他が見えなくなってしまうタチ。いつも土壇場で何とかなっていたので、そのときも何とかなると思っていました。でも、自分だけではどうにもならなくなり、結果、多くの方に助けてもらいました。その経験から、できるだけ早い段階で相談することは大事だと思いました」

 公園ではなく、せめて、カラオケボックスなどでしのげば、と思うが……。

「そんなお金はありませんでした。まさか自分がホームレスになるとは、自分でも思っていませんでした」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」