「感動」の一言では表現できない…パリ五輪には人生のドラマがある
それぞれにドラマがある。もちろん阿部詩選手に負けてきた選手たちにもある。それらがぶつかり、かつて見たこともないような光景が広がる。感動と一言では表現できない。人生のドラマ。
同日にはスケートボード女子で14歳吉沢恋と15歳赤間凛音の日本の女の子が金銀ダブル獲得した。いかにも軽やかに淡々とこなしているようで彼女たちも何百回いや何万回もコンクリートに叩きつけられている。そしてもう一人、メダルが取れなかった中山選手にもドラマがあっただろう。
さらに同日、女子サッカー。スペインに負け、後がない日本。相手はブラジル。後半まで0-0で突破口が開かない。均衡を破りブラジルがシュートを決める。ああもうこのまま終わるかと思いきや、五輪6回出場の38歳“英雄”マルタ選手がベンチに下がると、アディショナルタイムに日本はPKを獲得。これをベテラン熊谷が冷静に決め同点。さらに初出場で交代したばかりの谷川選手があまりにも見事な30メートルのミドルシュートを決め、奇跡の大逆転劇。ベンチのマルタ選手が頭を抱え崩れ落ちた。
マルタ選手にもドラマがある。前半格好のチャンスにシュートを外し、PKを失敗した田中選手のメンタルが心配されるが、彼女にもきっとすごいドラマがある。
脚光と挫折、歓喜と絶望。感動というより、何か胸の奥を熱いものでかき乱されたような一日であった。