岡田将生が醸し出す「一歩引いた存在感」の神髄 「虎に翼」「ラストマイル」でも魅力随所に
満島ひかりと共演した映画「ラストマイル」が興収20億円を超え、間もなく最終回を迎える朝ドラ「虎に翼」のヒロインの再婚相手役も好評。10月17日からは、中井貴一とダブル主演の「ザ・トラベルナース」の2年ぶりとなる新シーズンが始まるなど、注目の度合いが高まっている岡田将生。“今年はいっぱい仕事をする年”と自分で決めたそうだが、いい結果を残しているのは、彼自身の個性が生かされているからだ。
岡田将生は2006年にCMでデビューして、翌年の映画「天然コケッコー」で早くも注目された。09年には「重力ピエロ」「僕の初恋をキミに捧ぐ」「ホノカアボーイ」などの演技で各映画賞の新人賞を総なめ。10年の「悪人」では下劣な大学生に扮して悪役としても新境地を見せ、テレビの「ゆとりですがなにか」(16年)をはじめとするコメディーもこなすなど、着実に演技の幅を広げてきている。
その彼の最大の特徴“場に馴染まない”ことだろう。「虎に翼」でも“はて?”と疑問を投げかけながら我が道を突き進む伊藤沙莉演じるヒロイン・寅子に対し、“なるほど”が口癖の岡田扮する星航一は、どんな時でも物事を客観的に見つめる男で、その姿勢は妻や子供に対しても変わらない。家族の中で問題が起こったとしても、航一は家族の一員でありながら、どこか当事者のすぐそばにいる“観察者”のような存在である。その余計なことを言わず寄り添っていてくれる感じがまた、寅子にとっては心地よいという不思議な魅力を持ったキャラクターである。