岡田将生が醸し出す「一歩引いた存在感」の神髄 「虎に翼」「ラストマイル」でも魅力随所に
「ラストマイル」では、ショッピングサイトから配送された段ボールが爆発する事件の真相を探る、満島ひかり演じる巨大物流倉庫のセンター長を手助けするチームマネジャーを演じているが、ここでも彼は自分の判断で段ボール爆弾とその犯人を特定しようとする満島のサポート役に徹していて、準主役でありながら立ち位置は常に客観的。作品の世界観や物語の中心にいても、どこか“場に馴染まない”感じは、東京から島根県の田舎町に転校してきた中学生を演じた「天然コケッコー」の頃から岡田将生に備わっていたもので、それが彼の他にはない魅力になっているのだ。
■同世代の役者にはいない、唯一の存在
それだけに彼には単独主演のイメージが薄い。「虎に翼」にしても、「ラストマイル」にしても、作品を引っ張っていくのは伊藤沙莉であり満島ひかりである。ただ、物語の本道から少しずれた岡田の視点があるからこそ、作品は膨らみを増すことになる。これは例えば主演俳優でも『キングダム』や『ゴールデンカムイ』の山崎賢人のように、危機的な状況を自らの行動と熱意で乗り越える役を演じて、作品の先頭を走っていくタイプとはまったく違ったアプローチ。先頭を走る主演から一歩引いたところにいる岡田将生は、客観性を失わないことで映画の観客やテレビの視聴者と、作品世界との橋渡しをする。こういう俳優は、佐藤健、松坂桃李、賀来賢人、若葉竜也ら、彼と同年代の顔ぶれを見ても、他にいない。