体が丈夫でも油断禁物…健康な人がかかる「貧血」とは?
貧血には偏食の若い女性などによく見られる「鉄欠乏性貧血」以外にも種類がある。血液をつくる骨髄が脂肪に置き換わり、赤血球や白血球を作らなくなる「再生不良性貧血」、胃や腸などの出血から起きる「出血性貧血」、ビタミンB12の欠乏によって起こる「悪性貧血」、赤血球が壊れやすいことで起きる「溶血性貧血」などだ。
「そもそも人の赤血球には約120日の寿命があります。それがなんらかの理由で異常に短縮した状態を溶血と言います。ただし、赤血球の寿命が短くなっても人の骨髄では通常の6~8倍の赤血球を作る能力があるため、普段は貧血の症状が起こりません。田村さんは生まれつき赤血球の形に異常がある溶血性貧血だったのです」(林院長)
では、なぜ田村さんに突然、貧血症状が出たのか? ヒントは田村さんの風邪症状にあった。
「田村さんが風邪だと思っていたのは伝染性紅斑(通称りんご病)です。昨年は10年に一度の流行の年で、1月はその余波があった。大人の伝染性紅斑は、子供のようにほっぺたが赤くならずに風邪症状だけが出て自然に治まることが多い。そのため、風邪だと思う人が多いのですが、この病気にかかると、溶血性貧血の人は赤血球の数が急激に減り、貧血症状が出やすいのです」(林院長)