心臓の悪性リンパ腫の手術でチーム医療の重要性を再確認
悪性リンパ腫は血液細胞を由来とするがんで、白血球の一種であるリンパ球ががん化した疾患です。頚部、わきの下、太ももの付け根部分のリンパ節に腫れが起こる場合が多いのですが、まれにリンパ節以外の臓器に腫瘍などの病変が発生するケースがあります。血液は体の隅々まで巡っているため、全身のどの場所にも表れる可能性があるのです。レアケースとはいえ、心臓も内部は血液で満たされているわけですから例外ではありません。
その患者さんを開胸して病変を確認してみると、心臓の右心室の筋肉に腫瘍ができていました。その腫瘍を心臓の機能を損なわないようにきれいに切除し、術中に病理診断に出して、悪性リンパ腫であることが確定したのです。
■手術中の正確な病理診断が必要
悪性リンパ腫は、がん細胞の形や性質などによって、細かく分類されています。病型がどのタイプかによってその後の治療方針が変わってくるため、病理診断がとても重要になります。術中に迅速に染色体検査や遺伝子検査を行うなどして、正確に診断しなければなりません。