残業した夜は早めに寝る 睡眠時間と糖尿病リスクの関係
残業時間が多くなると、ストレスから過食に走ったり、睡眠時間が不足したりと、生活習慣が乱れます。この状況が長く続くと、生活習慣病や心臓病など健康への影響も心配になります。
日本人労働者を対象に残業時間と糖尿病発症リスクの関連を検討した観察研究の論文が、日本疫学会誌電子版に2016年2月3日付で掲載されています。
この研究では、糖尿病ではない30~64歳の日本人労働者(男性2万8489人、女性4561人)が対象となりました。残業時間の長さと糖尿病発症リスクの関連性の他、月当たりの残業時間が45時間未満、または45時間以上と、1日当たりの睡眠時間が5時間未満、または5時間以上の4つの集団に分け、糖尿病の発症リスクを比較検討しています。なお、結果に影響を与え得る、年齢、性別、喫煙状況などの因子で統計的に補正して解析を行っています。
平均4・5年間追跡した結果、残業時間の長さと糖尿病の発症リスクには、明確な関連性を認めませんでした。しかし、月の残業時間が45時間未満、かつ5時間以上の睡眠をとっていた集団と比較して、月の残業が45時間を超え、睡眠時間が5時間未満の集団では、糖尿病の発症リスクが42%増加しました。他方、残業時間が45時間を超えていても5時間以上の睡眠をとっていた集団ではリスク増加は見られませんでした。
残業時間が長く睡眠時間が短い人は、他の生活習慣も偏っている可能性があり、この結果は必ずしも因果関係を示すものではありません。ただ、どうしても残業せざるを得ない時はできるだけ早めに寝るよう心掛け、睡眠時間を十分にとることが大切なのかもしれません。