「大自然に生かされている命の喜び」患者の言葉を実感した
Gさんは埼玉県のある山あいの町に住んでいました。入院中、治療効果が明らかになった頃から、Gさんはとても明るくなり、自分の家の畑のことを盛んに話されました。「汗を流して自分で耕すけど、野菜もイモも自然が恵んでくれるんです。土と太陽と雨とで育つの。大自然の恵みは素晴らしい。私たちには大自然に生かされている喜びがあるのよ」
■摘みたてののアスパラガス
Gさんはすっかり元気になって、外来での通院治療となりました。治療開始から約1年半が経った翌年6月、外来の診察に来られた際のことです。この時もGさんはとても元気で、1カ月後の再診予定をして帰られました。
しばらくしてから看護師さんが「診察室の外に置いてありました」と白い小さなビニールの袋を持ってきました。Gさんからの手紙とアスパラガスでした。
「けさ、家を出る時に、うちの畑のアスパラガスを10本摘んできました。持ってきてはいけないのは分かっているのですが、大自然に生かされている命の喜びは、摘んだばかりのアスパラを食べると分かるのです。先生に知ってほしいと思いました」