患者にとって「がん」という言葉は計り知れないほど重い
ところが、Oさんの不安は消えません。
「私は、ずっとがんを抱えたまま生きていくのでしょうか? 食べたら悪いものとか、がんを消す何らかの方法はあるのでしょうか?」
そう訴えるOさんに、私は「まずはS病院の泌尿器科で定期的に検査を続け、普段は健康と思って生活してよい」ということをお話ししました。
■「がん=死」というイメージはまだまだ根強い
トラック運転手のWさん(45歳・男性)は、勤務している会社で受けた健診結果を持参して来院されました。
健診結果には「肥満、糖尿病、高脂血症、肝機能障害のため要受診」と記載されていて、昨年も一昨年も同様の指摘を受けながら受診しなかったこともあり、数値はさらに悪化していました。
私は「糖尿病が悪化していて、このままでは死んじゃうよ。糖尿病の専門医を紹介します」と進言したのですが、Wさんは「今日は時間がないので、また来ますから、薬だけ下さい」と言うだけであまり表情が変わりません。