2020年1月に実用化「N-NOSE」 線虫が尿の匂いからがん検知
なぜこの線虫が、がん患者の尿の臭いを好むのかは明らかになっていないというが、臨床研究において、がんを検知する感度はステージ0から1でも87.0%と極めて高い。
「現時点では、がん種を判別することはできないので、陽性の場合は、さらに詳しい検査を受けることが必要です。しかし、手軽に受けられる検査なので、一次スクリーニングとしての利用価値はとても高いと思っています」と言う。
「N―NOSE」の利点として、簡便、高精度、安価、早期発見が可能、苦痛がない、全身網羅的、の6点を挙げる。
「症状もないのに胃カメラなどの検査には踏み切れないと思いますが、この検査なら簡便にできます。自分の家系にがんが多いなど、気になる人はもちろん、小さいお子さんも含めて、誰もが受ける検査になってほしい。30%程度という、先進国の中でも低い日本のがん検診率を高めるのが目標です」(三沢氏)
現在、線虫の動きを解析する機械も開発中。検査料も取引先と相談中だが、なるべく安価になるよう、全力で調整している。
(フリージャーナリスト・里中高志)