著者のコラム一覧
奥野修司ノンフィクション作家

▽おくの・しゅうじ 1948年、大阪府生まれ。「ナツコ 沖縄密貿易の女王」で講談社ノンフィクション賞(05年)、大宅壮一ノンフィクション賞(06年)を受賞。食べ物と健康に関しても精力的に取材を続け、近著に「本当は危ない国産食品 」(新潮新書)がある。

介護のために同居を始めると父親との関係がギクシャクした

公開日: 更新日:

 具体的な例を紹介する。

 佐藤啓介さん(仮名)は出版社に勤務する40代のサラリーマン。父親が認知症になってから、すっかり人生が狂ってしまった。

 実家は両親2人だけの生活で、年老いた母親には認知症の父親の介護は手に負えず、かといって、父親の性格からヘルパーともうまくいかず、母親は佐藤さんに助けを求めた。

 最初は時々実家に帰って介護を手伝っていたのだが、やがて症状が進行するにつれて、それではとても間に合わなくなってきたので、思い切って両親と一緒に住むことになった。もちろん、これまでのようにサラリーマン生活を続けることは難しく、勤めていた会社を辞めて近所で仕事先を探した。

 最初は両親も喜んだが、そのうち父親との関係がギクシャクし始めた。

 最初の兆候は、佐藤さんが食事を作って父親に出したときだ。「こんなまずいものを親に出すのか」と吐き捨てたので、ついに親子喧嘩が始まってしまった。

 だんだんと父親は不機嫌になり、大声で怒鳴るか、全く口を利かないかだった。ときには楽しいはずの食事中に、いきなりお茶碗を投げつけることもあった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」