できる・できないを繰り返す「まだら認知症」の対応方法
ただし高齢者の場合は、アルツハイマー型認知症を併発しているケースが少なくないので、薬の効果を含めた症状の改善は限定的になると考えなければならない。
実際のところ、無症状の脳梗塞、脳出血は高齢者にかぎったものではなく、40、50代でもかなり多く見られることで、子ども世代も他人事ではないと考えておいたほうがいい。いずれにせよ、脳血管性認知症においては同じことでも「できるとき」と「できないとき」が表と裏の関係のように生じるため、まわりの人間は戸惑う。そのため「怠けているのでは?」「わざとやっているのでは?」「困らせようとしているのでは?」などと疑い、「やる気の問題だ」などと感情的な言動で接してしまうことが少なくない。子どもは「できるときとできないときの大きな波」は脳血管の血流障害によって引き起こされていることをきちんと理解して対応すべきだ。できないときの親を基準にして対応し、できるときは喜び、できないときは介助するスタンスが必要だ。
もちろん、さらに重大な脳梗塞や脳出血が起きないように親の生活習慣を見直したり、十分な水分補給を心掛けるなど、改善の余地があれば実行する。そのうえで、コミュニケーションの機会を増やすよう心掛けることだ。歩行に問題がなければ、散歩などの軽い運動で体を動かしたり、太陽の光を浴びたりすることも症状の進行を遅らせる。認知症全般に言えることだが、「できない」とあきらめるのではなく、「まだできること=残存能力」を維持するように心掛けよう。