つらくて病院通いの妻に夫は不満げに「俺への当てつけ?」
今から8年ほど前、体調が悪くて、いろんな科を受診していたSさん。「病院に行くために働き、休みを取っているような生活だった」と、当時を振り返ります。原因が分からない状態が数年続き、医療機関を転々とし、対症療法で過ごす日々だったそうです。
もともと活発で、フルタイムの仕事、家事、趣味の水泳を楽しんでいたSさん。40歳を過ぎた頃から気力低下やうつ気分があり、精神科、内科、整形外科に通っていました。テーブルの上に山になった処方薬。治るか分からない病院通いで、気持ちもすっきりしない。病院から帰宅しても、無口な夫に対し、無愛想な態度だったそうです。
するとある日、Sさんの夫は「一年中病院、病院って医者通い。どこに行っても、どこも悪くない。俺が何かした? 当てつけ?」と突然言いだしました。「今までの沈黙と冷ややかな態度は、こんなふうに思っていたからだったのか」と深く傷ついたSさん。それから普段の会話もぎこちなくなり、病院へ行くことに罪悪感を感じて緊張。隠れて通院したそうです。
40代以降、心身の不調でどの科に行っても原因が分からないことがあります。対症療法での薬の効果はほとんど一時的。更年期の体の不調は女性ホルモンのエストロゲンの減少によるもので、エストロゲンは血管系、自律神経系、脳機能、皮膚代謝、脂質代謝、骨代謝などにかかわるホルモンのため、減少すると体のあちこちに不調が出ることがあるのです。しかし、婦人科以外では更年期に詳しくない場合が多く、原因を見つけられず、Sさんのように病院を転々としてしまいます。