尿潜血「+」は医師も警戒 「様子を見ましょう」は再検査
本当は陰性なのに陽性と判定される偽陽性の「+-」もあります。筋線維が損傷するような激しい運動の後や生理直後には、筋肉中から尿中に放出されるミオグロビンがヘモグロビンと似たタンパク質で、テステープが誤って反応して、陽性と判定することがあるのです。
背景にいろいろな見逃せない病気が潜んでいるときも、偽陽性のときも再検査が欠かせません。尿を遠心分離(沈渣)して、顕微鏡で観察。赤血球のほかに白血球はないか、尿路結石を起こすような異物や細菌感染がないかをチェックします。この検査は尿沈渣と呼ばれ、専門の検査技師がみれば、赤血球の形で出血の場所が腎臓なのか、そうでないか判別。尿の中にがん細胞が混じっていることもあり、膀胱がん発見のキッカケになることもあります。
腎臓学会の調査によると、陽性になるのは毎年約500万人。そのうちがんが見つかる確率は0・5%程度、200人に1人。膀胱がんは、顕微鏡的血尿で診断される悪性腫瘍の中で最も多いがんなのです。
それでも異常がなければ「様子を見ましょう」となりますが、1年後の再検査は決して忘れてはいけません。
(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)