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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

八千草薫さんは肝臓にも すい臓腫瘍IPMNはMRIで早期発見

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 IPMNは、盛り上がるよう(乳頭状)に増殖する腫瘍で、豊富な粘液を分泌するのが特徴。それで膵液の流れが妨げられると膵炎を発症して背中の痛みを生じたり、病変が大きくなって黄疸が出たり、膵機能の低下で糖尿病になったり……。経過観察でチェックしながら、腫瘍が大きくなってきたタイミングで手術します。

 悪性化していても、腫瘍が膵管にとどまっていればよいのですが、膵管の外に浸潤すると、通常の膵臓がんと同様に難治がんになるのです。

 それでもIPMNは、がんになる前の段階で診断できますから、通常の膵臓がんとは区別して、しっかりリスク管理することが大切です。

 国際ガイドラインによって治療法が決まっていて、一般に手術の適応は主膵管の太さが大切な指標になっています。そのほかにもさまざまな条件を加味して、主に「主膵管の太さが10ミリ以上」「黄疸の症状」などがあると、手術の適応に。

 IPMNのもうひとつの特徴として、ほかの臓器のがんを合併しやすいといわれます。否定する報告もあり、議論の決着はついていませんが、経過観察するときは、MRIなどで膵臓以外の臓器もしっかりフォローすることが大切です。

 八千草さんの膵臓がんが、通常の膵臓がんなのか、IPMNによる膵臓がんかは分かりませんが、今年になって肝臓にもがんが見つかっているのは気になります。

 人間ドックなどの腹部エコー検査で膵嚢胞が見つかったら要注意です。

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