のど<下>風邪で痛みが出るのは正常 安易な咳止めは考え物
線毛が病原体などの異物をキャッチすると、ベルトコンベヤーに載せられたように口の方へ運ばれる。そしてタンと一緒に体外に排出されるか、唾液と一緒に食道から胃へとのみ込まれるのだ。胃に入った病原体は胃酸によって死んでしまう。とはいっても鼻毛や鼻粘膜も病原体をキャッチするフィルターとなり、免疫機能のひとつを担っている。口呼吸しがちな人は意識して“鼻呼吸”を心がけることで、のどへの負担が減らせるという。
「のどが痛くなるのは免疫力が正常に働いている証拠でいいのですが、同時に線毛がダメージを受け、病原体を外へ運び出す力が弱まります。ですからのどの痛い風邪をひいた後は、気管支炎や肺炎を起こしやすいので注意が必要です」
線毛だけで排除し切れない病原体もいる。そんなときには気道の粘膜から脳にその情報が送られ「異物を吐き出せ」という指令が出される。
これが「せき反射」で、体の防御反応として起こる。呼吸器の専門医が風邪のときにせき止めを出さないのは下痢と一緒で、異物を排出しているせきは止めない方がいいからだという。