のど<下>風邪で痛みが出るのは正常 安易な咳止めは考え物
風邪やインフルエンザが気になる季節がやってきた。「私はのどが弱いから、すぐ痛くなる。風邪をひきやすいのだ」と思っている人も多いだろう。しかし、それはまったくの勘違い。のどは口から入った病原体を最初にシャットアウトするための“第一関門”だからだ。「池袋大谷クリニック」(東京都豊島区)の大谷義夫院長が言う。
「のどが腫れるのも痛むのも、免疫力が正常に働いている証拠。のどが弱いどころかむしろ強いのです。一般的に病原体がのど(上気道)で止まれば、風邪をひいたとしても症状がそれほどひどくなりません。比べて高齢者は圧倒的にのどが痛くならないし、風邪をひくことが少なく、病原体がいきなり下気道まで侵入して肺炎になってしまうことがよくあります。それは加齢とともにのどが老化して、免疫力が弱くなっているからです」
のどが担っている免疫力の働きとはこうだ。鼻に異物が入らないように鼻毛が生えているのと同じで、のどから気管の粘膜には「線毛」という1000分の5ミリほどの細かい毛がびっしりと生えている。線毛の先端は粘液で覆われていて、常に口の方へとなびくように動いている。