麻酔薬が主成分の新たな抗うつ薬が登場 2~3時間で効果が

公開日: 更新日:

「ところがすべての新規化合物が失敗。ということは、ケタミンが持つ、NMDA受容体への作用以外の“何か”が抗うつ作用をもたらしていると考えられる。そこで、NMDA受容体への作用が弱い、言い換えれば、それ以外の“何か”を持っているR型の研究を始めたのです」

 当初は“S型派”が優勢だったが、16年、米メリーランド大学や米国衛生研究所(NIH)の研究者が世界的権威の医学誌「ネイチャー」に、橋本教授の主張を裏付ける論文を発表。現在は、R型への抗うつ作用への期待が高まるばかりだ。なお、S型ケタミンの第3相臨床試験では、全5本のうち2本しか偽薬に対し優位性を示せなかった。この結果から「S型ケタミンにも抗うつ作用があるが、ケタミンの抗うつ作用を主に担っているのはR型では」と、橋本教授は考えている。

「ケタミンの副作用は、NMDA受容体が関与していると推測されている。NMDA受容体への作用が弱いR型を抗うつ薬の主成分とすれば、副作用も見られない可能性が高い」

 橋本教授のR型ケタミンは最近、臨床試験が始まった。結果が出るのはそう遠い未来ではない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に