帯状疱疹で脳梗塞とアルツハイマーの発症リスクが高くなる
免疫力が下がっている時に起こりやすいのが、刺すような痛みや発疹が症状の帯状疱疹。年末年始の疲れを引きずっていたり、風邪をひきやすい今の季節、要注意だ。
この帯状疱疹が近年、さまざまな神経疾患に関連していることが分かってきている――。こう指摘するのが、東京女子医科大学脳神経外科客員教授で医師の清水俊彦氏。
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルス「水痘帯状疱疹ウイルス」が原因で発症する。子供の頃に水ぼうそうを経験した人は多いだろうが、その時は水ぼうそうが治ってもウイルスは脳や脊髄の感覚神経節に潜んだまま。そして免疫力が低下した時に増殖し、帯状疱疹を引き起こす。
「帯状疱疹ウイルスが脳の血管内で増殖して炎症を起こすと、脳血管を損傷して脳血管障害のリスクを高めます」(清水俊彦氏)
2009年と10年に発表された台湾の疫学研究では、頭部に帯状疱疹発症1年以内の脳梗塞の発症リスクは1・3倍。眼神経の帯状疱疹では4~5倍だった。
清水氏の知人も、帯状疱疹後2週間で脳の椎骨動脈解離を起こした。50代のその女性は右後頭部にズキンとした痛みを感じ脳神経外科を受診。右の後頭神経領域に帯状疱疹が見つかった。MRIでは異常がなく、抗ウイルス薬で治った。2週間後、同じ場所に同じ痛みがあった。病院では帯状疱疹の再発と診断。抗ウイルス薬を処方されたが、治らなかった。