性器周辺の水ぶくれ 必ずしも「性器ヘルペス」とは限らず
突然ですが、性器や肛門周辺に“水ぶくれ”ができる病気といえば何でしょう。そうです。5類感染症として医療機関からの定点報告が義務づけられている性感染症の中でも、女性では2番目に罹患(りかん)者が多い「性器ヘルペス」です。
原因の「単純ヘルペスウイルス(HSV)」は2種類あり、「1型」は唇や目、手指など主に上半身に感染し、「2型」は性器や肛門周囲など主に下半身に感染して水ぶくれをつくります。しかし、ウイルスのすみ分けは厳密ではなく、性器ヘルペスから1型が検出されることも多数あります。
では、体に水ぶくれができる感染症はHSVだけでしょうか。そうではありません。代表的なのは、子供なら「水ぼうそう」、大人なら「帯状疱疹(ほうしん)」がよく知られています。原因は「水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス(VZV)」で、子供の頃に水ぼうそうにかかり、そのウイルスが体内の神経節にすみ着いて、大人になって免疫力の低下をキッカケに帯状疱疹を発症するのです。
HSVとVZVは、どちらもヘルペスウイルスですが、種類が異なるので、似ているところもあれば違うところもあります。一度感染すると体内の神経節にすみ着いて、感染者は一生、付き合っていかなければいけないのは同じです。水ぶくれの症状が出るのも同様です。