日本海を眺めながら死も考えた…早川史哉さん白血病を語る

公開日: 更新日:

 心身ともに一番つらかったのは、その年の11月の骨髄移植(造血幹細胞移植)の前後です。長期入院でただでさえ孤独にさいなまれていたのに、骨髄移植のために入った無菌室ではさらに孤独を感じました。奥に小さな窓があるだけの部屋で閉塞感があるのです。日中は家族と面会できましたが、無菌室の中と外で、電話を使って話すだけ。壁一枚あるだけでものすごく遠く感じ、寂しくて、苦しくて、どうしていいかわかりませんでした。

 体力もすでにかなり落ち、ただただベッドに横たわり、時が過ぎるのを待つしかない。移植直後は手のひらや足の裏の皮がむけたり、喉が荒れて話すのもつばをのみ込むのも、ものすごく痛くなりました。シャワーも体に当たる水が痛くて浴びられないほどで、無菌室にいた2カ月間は、生きているだけで精いっぱいでした。

 その後も一時退院や再入院を繰り返し、治療を続け、完全退院となったのは最初の入院から約1年後の17年6月でした。安堵感に包まれました。

 とはいえ、白血病に完治はなく、再発の可能性が常にあります。その恐怖と常に向き合いながら、その後はプロとしてプレーできる体にまで持っていかなければいけません。最初は立ったり座ったり、普通の生活を送ることからスタートです。散歩しただけでも息が上がり、脚がむくみ、疲労感は強烈でした。リフティングしただけでサッカーボールが重い。体の衰えに絶望感がいっぱいで、理想と現実の差に苦しみ、うつっぽくなった時期もありました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3
    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  4. 4
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 5
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  1. 6
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 7
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  3. 8
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  4. 9
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  5. 10
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」