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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「地球温暖化」と「炭酸ガス濃度」と「平均気温」の関係

公開日: 更新日:

 前回のラーメン店と脳卒中死亡の相関を見たのと同じタイプの研究に、二酸化炭素濃度と平均気温の関係を調べたものがあります。炭酸ガス濃度と地球温暖化の問題のもとになる研究です。この研究を「エコロジカルスタディー」と言えばわかりやすいでしょう。

「エコ=環境問題」という使われ方の起源は実はこのエコロジカルスタディーにあります。「生態学(エコロジー)」はもともと生物学の一分野で、「個々の生物の個体同士の関係」、「その個体が環境に与える影響」、逆に「環境が個体に与える影響」、さらにこの3者の関係を検討するものです。最近ではこれが人間と人間以外の生物、環境の2者の対立に限定されて「エコロジー」と呼ばれているように思われます。

 この人間中心のエコロジーの定義は、地球を守ろうという目的とは、むしろ矛盾する面があります。

 もともとの生態学において人間は特別な存在でなく、哺乳類の中の人類という個体の集団のひとつに過ぎません。

 少し横道にそれましたが、この研究から言えることは「炭酸ガス濃度」と「平均気温」の相関関係であって、因果関係ではありません。ラーメン店を減らして脳卒中死亡は予防できるかどうか、はっきりしないのと同様、炭酸ガス濃度を減らして気温が下がるかどうかはこの研究からだけではよくわからないのです。そしてこれが異常気象を防げるかというと、さらにはっきりしません。

 科学的な領域でこれらの関係を相関ではなく因果関係として示した研究について、どうなっているのか興味があるのですが、そこにはまだ見解の対立があるようです。

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