白血球の2割~4割 病原体を攻撃する「リンパ球」の機能
「MHC(主要組織適合遺伝子)クラス1」と呼ばれる細胞膜表面の分子で細胞の性格が分かるので、T細胞はこれで正常の細胞と悪性腫瘍や感染細胞とを区別できます。MHCクラス1分子が少なかったり、欠如している場合は、T細胞の攻撃から免れる可能性もありますが、NK細胞がこれを破壊します。ナチュラルキラー細胞という名称は、MHCクラス1分子がない異常細胞を殺すために、前もって刺激される必要がないことから名づけられました。
「B細胞」は液性免疫を担います。細菌やウイルスのような異物が侵入しますと、ヘルパーT細胞(Th2)の指令で免疫グロブリン抗体を作り、病原体を攻撃します。
風邪の原因となるコロナウイルスには細胞性免疫が働きますが、新型コロナウイルスのSARSやMERSではT細胞そのものまで破壊されることがあります。新型肺炎ウイルス感染ではT細胞活性はあるようですが、重症化するとSARSと同じようにすべてのリンパ球が傷害されます。
「T細胞」と「B細胞」の機能は、こればかりではありません。活性化後に、さらに「メモリー細胞」としての機能も備えています。個々の特異的病原体に遭遇したことを記憶に残し、再び同じ病原体を発見すると、強力かつ素早い応答を開始します。