声のかすれが続く…誤嚥性肺炎リスク高める声帯萎縮を疑う
「喉の機能で大切なのは、左右の声帯が閉じることです。この男性は、加齢による声帯と喉の筋肉の萎縮で、左右の声帯が閉じにくくなっていました。発声は、吸った空気を声門に流し、声帯を振動させて音をつくりますが、声帯が閉じにくいと声がかすれるようになるのです」(角田医師=以下同)
声がかすれるだけならまだいいが、問題はむせやすくなることだ。
「気管に異物や痰が入ってきたとき、左右の声帯がピタッと閉じて中の圧を高め、気管から口の中に異物や痰を出し、異物を吐き出そうとします。しかし、左右の声帯が閉じなければ、中の圧は高まらず、異物を排出できない。これが誤嚥性肺炎へとつながります」
■健康長寿は会話から
誤嚥性肺炎回避のためにも、声帯萎縮が見られるようなら、その対策を講じなければならない。角田医師が考えたのは、「声を出す瞬間は声帯が閉じるので、その瞬間に声帯を閉じる力を強化するのがいいのでは」ということ。
「水道の蛇口の古くなったゴムのパッキンも、強く締めれば水はもれなくなる。それと同じ考え方です。具体的には、椅子に座り、座面を両手でしっかり持ち、短くはっきりと数字を唱える。1(いち)、休んで、2(にい)、休んで、3(さん)……という感じでゆっくり1から10まで30秒間かけて声を出します。体に力を入れ胸を張った瞬間に、声を出します。朝晩2回ずつ続けるといい」