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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

インフルエンザ治療薬の効果を知るには厳密な試験が必要

公開日: 更新日:

 治療効果についての情報は「二重盲検ランダム化比較試験」の結果が重要ですが、インフルエンザの治療薬を例に、実際の研究を見てみましょう。

 この研究は、15歳から65歳までの症状の発症から36時間以内のインフルエンザ患者に対して、抗インフルエンザ薬のひとつであるオセルタミビル(タミフル)を1日2回、5日間投与し、その効果をプラセボと比較したランダム化比較試験で、2000年に発表されています。

 この研究ではオセルタミビルの量を75ミリグラムと150ミリグラムの2つをそれぞれプラセボと比較しています。薬の投与開始から症状消失までの時間で効果を検討していますが、オセルタミビル75ミリグラムでは平均76・3時間、150ミリグラムでは74・3時間でした。

 これに対して、プラセボ群では97時間。比較すると、オセルタミビル群でそれぞれ20・7時間、22・7時間早く症状がなくなるという結果でした。大ざっぱに言えばプラセボを使ったグループでは治るまで4日間かかるのに対し、オセルタミビルを使うと3日で治るということです。

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