着物は冬温かく夏涼しい 3カ所の開口部で通気性に優れる
ところが、着物の下に腰巻きや、パッチ(長いズロース)を着用すると、着物姿の平均皮膚温が、33・01度に上がったという。
33度は人間が最も快適に感じる平均皮膚温だが、洋装だと、見栄えもあって洋装の下にパッチなど厚手の下着は着用しにくい。その点着物は、他の人から見えず、着用の工夫で、洋装よりもはるかに温かくなるといわれている。
また、着物と温度の関係で、こんな実験もある。「快適と思う室温にできる実験用小部屋」を用意。被実験者に順次、入ってもらい、快適な温度調節をしてもらう。その結果、着物着用者たちは、快適な室温を、20~22度に設定したのに対し、洋服着用者は、少し高い24~26度に設定したという。着物着用者は、気温が低い状態でも快適と感じたのだ。
では、夏場はどうか。日頃から着物を着ている人たちに「着物の暑さ対策」のアンケートも実施したところ、意外にも夏は保冷剤の使用や、長じゅばんをしないなど10項目に及ぶ対策の中で、トップは「汗取り下着」の着用だったという。
着物は、開いた襟首や袖口、裾の3カ所に大きな開口部がある。そこから熱した体温が通り抜けていくという通気性に優れた衣装であるため、夏の浴衣も、衣文(首から襟を少し離した着方)の注意や、ゆったりとした着用に心がけたら、涼しい衣装になるのだ。