それだけで命に関わるケースも…「脱水」を軽く考えるな
2つ目の原因は、「不感蒸泄」と呼ばれる発汗以外で皮膚や呼気から水分を過剰に喪失してしまったことが考えられるという。
汗をかかずにすむ室内で終日過ごしたため、1日で1・0リットル以上の水分を失ったと予測できるそうだ。
「意識がもうろうとしたのは、脱水によるせん妄の一歩手前です。水とナトリウムやカリウムなどの電解質(塩分)を含む体液の電解質濃度が異常になり、脳の神経細胞の活動が妨げられる症状です。突然、訳のわからないことを叫ぶ、うろうろ動き回る、幻聴や幻覚などが挙げられます。脱水が進行するとせん妄が起こり、せん妄が起こると脱水は重症化します。脱水によるせん妄は見逃されやすいですが、命に関わるケースもあり要注意です」(高瀬氏)
■水のガブ飲みは逆効果
脱水の怖さはこれだけではない。体内の循環が悪くなって免疫機能全般が低下し、死に至る病気にかかるリスクも高まるのだ。
「脱水が怖いのは、血液が濃く固まりやすいドロドロ血になること。血液の固まりである血栓が脳の血管に詰まれば脳梗塞、心臓の血管に詰まれば心筋梗塞を発症し、生命の危険を伴います。また、尿量が減って細菌が洗い流されづらくなり、尿路感染症や膀胱炎、腎盂腎炎にかかる可能性もあります」(高瀬氏)