著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

コロナ「禍」と呼べるほどの災禍なのか?死者は大幅減少

公開日: 更新日:

 なんと死亡数が1万以上も減少しているではないか。年換算にすると、約3万1000人になる。

 本来は2万1600人増えるはずだったのだから、今年の年末までに、差し引きで5万2600人も死者が減るという計算になってしまう。

 我々は「コロナ禍の最中に死者が大幅に減る」という奇妙な現象に直面しているのだ。

 人口動態調査には死因統計も出ているので、そちらをチェックしてみよう。死亡数がもっとも減ったのは、呼吸器系の疾患によるものだ。1~4月の期間に、約6700人も減った。主な内訳は次のようになっている。

●新型コロナ プラス516人

インフルエンザ マイナス2224人

肺炎 マイナス3865人

●慢性閉塞性肺疾患 マイナス624人

 4月末時点で新型コロナによる死者は516人だったが、それをはるかに上回って、インフルエンザと肺炎の死者が減った。新型コロナの感染予防対策が、インフルエンザ予防に効果があったのだろう。実際、知り合いの医師たちは、口を揃えて「2月以降インフルエンザが激減した」「9月に入ってもインフルエンザがまったく増えていない」と言っている。またインフルエンザから肺炎を発症して亡くなる人が多いのだが、インフルエンザが減ったため、肺炎の死亡も大きく減ったのであろう。

 ここまでは、それほど不思議ではなく、むしろ納得できる話ではある。だが、まだ続きがある。

【連載】新型コロナでわかった不都合な真実

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