著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

医師は病気を治せない。良くなるお手伝いをしているだけ

公開日: 更新日:

「病気が治る」という言葉があります。また、「症状が良くなる」という言葉もあります。

 たとえばお腹が痛い方がいて、原因が末期がんであるとします。末期がんが治ってお腹が痛くなくなれば最高ですが、そういうことはほとんどありません。

 しかしながら、末期がんは治らないけれど、お腹の痛みを改善することは医療者側の努力で可能です。これを私たちは「良くなる」という言葉で捉えています。

 医療者としての経験が長くなるほど、治らない病気がいかに多いかということをしばしば認識させられます。

 誤解を恐れずに言うならば、私たち医師は病気を「治す」ことはできない。あくまでも、患者さんが自分で良くなっていこうとするお手伝いをしているだけなのです。

 特に在宅医療では、医師が病気を治そうとすると、逆に患者さんに負担がかかってしまう。患者さんが穏やかに過ごしたいと望む、残された貴重な時間を台無しにしてしまうケースもままあります。

 医療漫画の金字塔ともいえる手塚治虫の「ブラック・ジャック」に、「ちぢむ!!」というタイトルの話があります。ここには、「治せる」と考える医師のおごりと、自然の運命との乖離が描かれています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」