貧血を改善するには「鉄分」をたくさん摂取すればよい?
体内のへモグロビンの値が男性は13g/デシリットル未満、女性なら11g/デシリットル未満なら「貧血」と診断されます。
よく、貧血なら鉄剤内服や、レバー、ホウレンソウを食べればよいといった話を聞きますが、その効果があるのは、「鉄欠乏性貧血」の場合のみです。鉄欠乏性貧血は、血液検査で、貯蔵鉄の指標である「フェリチン」の測定をし、それが低値であることで診断されます。
鉄欠乏でないにもかかわらず、鉄剤を内服し続けると、体内に余分な鉄が蓄積し、鉄過剰症という別の弊害も出てきますので注意が必要です。
鉄欠乏性貧血以外にも貧血の原因はあります。原因は大きく分けて、主に3つあります。
1つ目は、「栄養不足・栄養失調」によるものです。鉄分だけではなくビタミンB12、葉酸、銅、亜鉛などが不足することで貧血になります。ただし、2~3年インスタント食品しか食べていないなど極端な生活をしていない限り、現代の食生活では考えにくいと思われます。
2つ目は「出血」による貧血です。胃や大腸などの消化管にがんや潰瘍があると、そこから出血し、貧血になります。この時、ただの鉄欠乏性貧血だと思って鉄剤を投与すると一時的に症状は改善しますが、胃がん、大腸がんなどを見逃す可能性がありますので、きちんと原因を調べることが重要です。