中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

保険適用から1年半の「乳がん予防切除」 卵巣がんにも要注意

公開日: 更新日:

 女性で乳がんと診断されるのは年間約9万3000人で、亡くなるのは同約1万5000人です。乳がんは、女性のがん罹患数1位で、死亡数は5位。女性にとっては侮れない乳がんを巡り、注目されているのが、昨年4月に保険適用された予防切除です。

 その予防切除がクローズアップされたのは8年前。米女優アンジェリーナ・ジョリー(46)が、特定の遺伝子変異により、医師に「乳がんになる可能性が87%」と診断されたため、乳がん予防で両方の乳腺の切除手術を受けていたことを明かした時でした。その2年後には卵巣と卵管の切除も公表しています。

 日本でも予防切除の保険適用から1年余り。コロナ禍の受診控えで、期待ほどの進展はありませんでしたが、感染者数も落ち着いてきたので、今後広がることが予想されるのです。

 特定の遺伝子とはBRCA1で、がんを抑える働きをします。人は、両親からそれぞれ遺伝子を引き継いでいるので、どちらも正常なら、遺伝子変異を繰り返しながら両方にキズがつかないと、がんは発生しません。

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