サル痘は本当にセックスでうつる病気なのか? WHOが調査開始
致命率は0~11%とされ、小児らで重症化、死亡した症例報告もあるが、先進国では死亡例は報告されていない。これまでまれに流行地域以外でも、流行地からの渡航者らで発生した例はあるが、今回のように世界同時多発的に発生したことはない。
■ドイツとイタリアの男性患者の精液からウイルスを検出
今回、気になるのはこの病気が主にセックスでうつる性感染症ではないか、と疑われていることだ。イタリアとドイツの一部のサル痘患者の精液からウイルスのDNAが検出されたとの報告が出ているからだ。この中には、患者1人の精液から見つかったウイルスが他の人に感染し、複製可能であることを示す、研究所で検査したサンプルが含まれているという。
しかも、米国や欧州で確認されたクラスターの患者の中には流行地への渡航歴がなく、ゲイやバイセクシュアル男性などの同性と性的接触を持つ人(MSM)が目立った。そのため、MSMの人たちに多い性感染症ではないか、という見方もある。
「現時点で、この病気は皮膚や寝具に触れたり、食器を共有したりといった濃厚接触によって広がる感染症とされています。いまは情報が少なすぎて性感染症であるかどうかはわかりません。ただ、注意は必要です。というのも最近の性感染症は精液からウイルスのゲノムが見つかることは珍しくないからです。かつてエボラ出血熱と言われていたエボラウイルス症は平均の致死率が50%の怖い病気ですが、感染経路はエボラに感染して亡くなった人の体液や血液で、精液にも感染力のあるエボラウイルスが隠れていてセックスでうつることが確認されています」