糖尿病の中高年はフレイルに気をつけろ “自己流”が災いを招く
田中さんは膝回りの筋肉が衰えたせいだと思い、ネットの動画などを見てスクワットなどの筋力トレーニングを始めたが、かえって症状は悪くなった。
「田中さんと同じような患者さんはウチにもときどきおられますが、明らかにやり過ぎです。そもそも田中さんは自身が認めたくないだけで糖尿病がかなり進行していたはず。加齢により筋肉量が減っているうえ糖尿病による低栄養があり、それに自己流の糖質制限と運動が加わった。田中さんは脂肪を燃焼させてやせようと思ったのでしょうが、その前に筋肉が急激にやせたのでしょう」
■糖尿病の人はフレイルとサルコペニアになりやすい
糖尿病が併発する病気というと「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」などが有名だが、近年注目されているのはフレイルとサルコペニアだ。フレイルとは体が「虚弱」な状態になることFrailty(フレイルティー)に対応する日本語で「老衰」「衰弱」「脆弱」のこと。加齢に伴って体も心も老い衰えた状態を意味する。
サルコペニアは筋肉量や筋力、身体機能が低下することを言い、フレイルの原因となることが知られている。