糖尿病・高血圧・脂質異常症は、なぜ脳にもダメージ与えるのか?
糖尿病、高血圧、脂質異常症の生活習慣病は、「2つ、ないし3つとも」という人が珍しくありません。もっと言うなら、肥満の人は、糖尿病、高血圧、脂質異常症の3つの生活習慣病を抱えている人が多い。その理由は、肥満は糖尿病の主なリスク因子であり、高血圧、脂質異常症の主なリスク因子でもあるからです。
肥満になると、「TNF-α」「レジスチン」という物質の分泌量が増えます。これらは脂肪を蓄える白色脂肪細胞から分泌されるもの。TNF-αとレジスチンの量が増えると、血液中のブドウ糖が肝臓・筋肉・脂肪組織へと取り込まれにくくなり、血液中に糖が停滞して高血糖になります。糖は「酸化」などの化学反応から血管の内側の壁を傷つけ、血管にダメージを与える性質があるため、高血糖が続くと、動脈硬化が進行します。
肥満は、血管を収縮させるアンジオテンシノーゲンという物質も増加させます。すると血圧が上昇し、血管の壁に負担をかけ、やはり動脈硬化の進行につながります。
肥満は、脂質異常症の原因でもあります。肥満によって遊離脂肪酸という物質が血液中に増え、その一部が肝臓で中性脂肪やコレステロールに変わり、血液中に戻され、結果、血液中の脂質が増えるから。糖尿病、高血圧と同様に、動脈硬化を進行させ、血管にダメージを与えます。