性感染症編(7)フレイルとの関係 ドスンと座るようになったら要注意
体の衰弱は足腰に表れる。その主な原因は筋肉量の減少にある。実はこの筋肉量の減少に性感染症も関わっていることをご存じだろうか? 「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)の著者で日本性感染症学会の功労会員でもある「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長に聞いた。
HIV感染があると老化が10~15年早く進行することが報告されている。実際、加齢により発症する糖尿病、高血圧症、慢性腎障害、精神疾患、がん、骨粗しょう症などの病気において、HIV患者の罹患率は10~15歳上の年齢層の罹患率と一致しているといわれる。認知機能や握力などの低下も見られ、それはHIV感染症による慢性炎症がフレイルを進行させるからだとされている。
「フレイルとは、簡単にいうと『加齢により心身が老い衰えた状態』のことを指します。海外の老年医学の分野で使用されている英語の『Frailty(フレイルティ)』が語源です。これは『虚弱』『老衰』『脆弱』などを意味します。日本では正しく介入すれば戻るという意味を強調するため、フレイルという日本語訳になっています」