緑内障とその予備軍は10月以降の薄暮時間帯での運転と歩行に注意
「網膜は、ものを見るためのフィルムにあたります。網膜の中心に多く分布して主に明るいところで働く錐体細胞と、視野中心からやや離れた位置にあって暗いところで働く杆体細胞があります。明るい場所から暗い場所へと移動すると、働く細胞は錐体視細胞から杆体視細胞へと交代します。この現象を『暗順応』と言います。逆に、暗い場所から明るい場所に移動すれば『明順応』が起きます。明順応よりも、暗順応の方がはるかに長く時間がかかるため、急に暗くなると見えづらくなるのです」
通常は7分くらいで暗順応は完了するが、病気によってはそれが遅延する人がいるので注意したい。有名なのが夜盲症だ。主に杆体細胞が障害される病気で、先天性のものと後天性のものがある。
「先天性はさらに非進行性と進行性に分かれ、後者では成人以降での発症も珍しくありません。例えば、子どもの頃から始まり、徐々に視野が狭窄して視力も低下していく網膜色素変性症は、その代表です」
一方、後天性の夜盲症では、成人以降に急激な夜盲を自覚することが多い。日本では腹部や消化器の手術後のビタミンA並びにE欠乏による夜盲症などが知られている。