腎機能が低下した状態では安静第一で運動するのは良くない?
最近、ある50代の患者さんからこんな質問がありました。
「腎臓の機能が下がった状態で運動するのはよくないのでしょうか? 40年以上前のことですが、弟が小学生の頃、健康診断で腎臓の数値が悪かったらしく、『1年間体育は見学するように』と言われたことがあると記憶しています。それ以降は問題なかったようで、翌年は体育の授業にも復帰したのですが……。記憶違いですか」
それは記憶違いではなく、まさにおっしゃる通りなんです。
「腎臓の機能が低下すると、運動はしないほうがいい、安静にしたほうがいい」という指導が、昭和の時代には医師からありました。いえ、昭和どころか、その指導が変わったのは、ここ10年ぐらいのこと。いまは「慢性腎臓病の方でも、適度な運動をしましょう」と推奨するようになっています。
医学は進歩し続けるものですから、それに伴って病気になった際の注意事項や指導も変わっていくこともあるということですね。現在では「腎臓リハビリテーション」という考えのもと、慢性腎臓病の患者さんにも適度な運動をしてもらうことを広めていこうという動きがあります。