認知症で「脳」が影響を受ける部分はほんの一部…95%は正常
そんな男性が、父親が認知症と知ったのは、母親が脳卒中で突然死したあとでした。「医者から聞いた話では、父親が認知症であることを、母親が周囲に黙っていたとのことでした。思い返せば、母親は父親をさりげなくサポートしていた」と男性。母親が突然死せず、そして「さりげないサポート」が続けば、男性が父親の認知症に気づくのは、まだ先だったかもしれません。
■初期の段階では本人が一番不安になっている
認知症は、15~20年と長い経過をたどって進行していく病気です。徐々にできなくなることはあるでしょう。記憶や理解、判断に間違いが出てくるかもしれません。しかし「できなくなったこと」を、特に周囲の方は、ことさらにクローズアップしないでほしいのです。
認知症の初期では、ご本人が一番「前はこんなふうじゃなかったのに、自分はどうしてしまったのだろう」と不安になっています。失敗しないよう、人に迷惑をかけないよう、敏感になっています。
そんな認知症の人の行動に、周囲が一喜一憂したり、批判したり、拒絶したりすると、誰でもそうだと思いますが、落ち込んだり、不安になったり、イライラして人に当たったりすることがあります。それを周囲から見ると、抑うつや興奮、暴力といったBPSDと呼ばれる行動・心理症状が悪化したと判断されてしまいます。