酒を飲む人、少し飲む人、飲まない人…認知症になりにくいのは?
コロナで静かになっていた飲食店街も、最近賑やかさを取り戻していますね。今年こそは忘年会を、と思っている人もいるのではないでしょうか。そんな気持ちに水を差すわけではないですが、アルコールと認知症について取り上げたいと思います。
「人生取るか、酒取るか。これで10年後が全然違う」──。外来で私がよく口にする言葉です。体に害を及ぼすものとしてよくたばこが取り上げられますが、脳に限って言うと、アルコールはたばこより害。
たばこはがん、心臓病や脳卒中などの循環器疾患、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする呼吸器疾患のリスクを上げます。喫煙者は認知症になりやすいといわれるのは、たばこに含まれる有害物質が血管を傷つけ、生活習慣病を悪化させるから。脳に間接的に悪影響を与えるのがたばこです。
一方、アルコールはダイレクトに脳に影響します。精神活動を活発にする大切な物質として、アセチルコリンがあります。アルコールはアセチルコリンの働きを低下させ、記憶系を障害するという結果が動物実験で出ています。