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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「正しい情報」のあいまいさ…バイアスが情報をゆがめる

公開日: 更新日:

 高血圧でも同様である。降圧薬を飲んでいる人と飲んでいない人を比べれば、前者は定期的に医療機関を受診し、検査を受け、自分自身でも血圧以外にも気を付けている場合が多く、バイアスを避けがたい。単に降圧薬を飲んでいる人と飲んでいない人を比べ脳卒中の発症を比較しても、それが降圧薬の効果だということはむつかしい。

 マスクの有効性についての情報でもバイアスは避けられない。さらに、コロナに対するマスク着用の効果についても同じことが言える。

 マスク着用者にはもともと他の感染対策にも気を付けている人が多いことからすれば、自己選択バイアスはマスクに関する情報にもそのまま当てはまる。つまり、マスクが有効だという結果は、容易に導き出せる面があるのだ。

 バイアスはデータを集める際と分析する際の両方で考慮する必要がある。バイアスをできるだけ避けながらデータを集め、バイアスをできるだけ考慮した分析を行う必要がある。その配慮がなければバイアスまみれの情報で、個別の判断に役立つどころか混乱を招くだけかもしれない。

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