糖尿病は“治る”時代…いまこそ患者への偏見を是正すべきだ
医学が急速に進み、多くの病が克服されつつある。「病の帝王」と呼ばれる「がん」ですら、生還する人が増えている。にもかかわらず、病気に関する不正確な知識や情報に基づき負の烙印「スティグマ」を押すケースが後を絶たないのはどうしたことか。
とくに糖尿病は新たなタイプの薬や治療パターンの登場で「一度かかったら治らない」時代は過去のものになりつつあるが、いまだに糖尿病であるが故に社会的不利益を被っている人が多い。皆が糖尿病について正しい知識を持ち、差別をやめるべきだ。
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糖尿病は予備群を含めると2000万人、成人のじつに4人に1人が罹患している国民病だ。身の回りに1人や2人いそうなありふれた病気である。にもかかわらず、昔から、糖尿病患者にはある種のスティグマがついて回る。スティグマとは一般に「恥・不信用のしるし」「不名誉な烙印」を意味する言葉だ。
たとえば「糖尿病になるのは食欲が抑えられず、運動嫌い、自己管理ができないだらしない性格の人」といった具合だ。「一度かかったら治らず、悪化するだけの病気」という先入観があり、インスリン注射など始めようものなら、「あの人は糖尿病の合併症を発症していずれ中途失明、慢性腎臓病から透析、動脈硬化などから脳梗塞や心筋梗塞になって死んでしまう」などと邪推されてしまう。