「下肢静脈瘤」による足のだるさを改善させるには?
そういった方に有効なのが「弾性ストッキング」の着用です。弾性ストッキングは足を圧迫することを目的として特殊な編み方で作られた医療用のストッキングで、主に弱圧、中圧、強圧の3段階に分けられます。弾性ストッキングで足を締め付けると、静脈の血流が促進され、むくみやだるさ、つりやすさなどの症状が改善されます。
下肢静脈瘤の場合、弱圧または中圧のハイソックスタイプがおすすめです。冒頭の女性も、1カ月後の外来で、弾性ストッキングの着用によりむくみが改善され、毎晩足がつることもなくなったと笑顔を見せていました。
ただし、弾性ストッキングはむくみなどの症状を改善できても、足にできたコブを消すことはできません。
足の皮膚が茶色に色素沈着していたり、皮膚に穴があくうっ滞性潰瘍を起こしている場合には感染症を起こしやすいので、手術を受ける必要があります。
▽松原忍(まつばら・しのぶ)琉球大学卒業後、同大学胸部心臓血管外科教室へ入局。末梢血管疾患の診療に携わった後、横浜市立大学形成外科でリンパ浮腫に対する手術法を学ぶ。2020年から順天堂医院足の疾患センターでリンパ浮腫診療を開始。24年4月から現職。