認知症の人は暑さを感じにくい…熱中症対策で注意すべきポイントは?
部屋の温度は25~28度、湿度は40~60%に
また、エアコンをつけていても、部屋の中で直射日光を浴びていたり、湿度が高ければ熱中症になりやすい。以前、私が訪問診療で認知症の方の自宅に伺った際、玄関のドアを開けた瞬間にモワッとした熱気を感じた途端、意識を失い倒れた経験があります。その方は暑さに鈍くなっていたため、部屋の熱気に気付かないまま過酷な環境で過ごされていたのです。部屋の温度が25~28度、湿度が40~60%になるよう、日中はクーラーとサーキュレーターをつけっぱなしにし、家族がいない間に本人がスイッチを消してしまうか心配であれば、外部からリモコンを遠隔操作できるスマートエアコンを検討するのもお勧めです。
さらに脱水による食欲低下で低栄養状態の人も少なくありません。そういった方には、「イノラス」や「エンシュア・H」と呼ばれる、イチゴやバニラ味の経腸栄養剤を処方しています。固形物の摂取が難しく栄養状態が改善しなければ、かかりつけ医に相談したうえで、食べやすいよう凍らしてシャーベット状にし、おやつ感覚で食べてもらってもいいと考えています。
話しかけても、いつもより反応が鈍かったり受け答えがおかしい場合には、熱中症で意識障害を起こしている可能性が高いので、すぐに救急車を呼んでください。
▽高瀬義昌(たかせ・よしまさ) 1984年、信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了後、麻酔科、小児科を経て、2004年、東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業。