副鼻腔炎の治療は進歩している(1)慢性化して嗅覚が低下すると認知症リスクが高くなる
また、鼻の穴の左右を隔てる鼻中隔が湾曲し、鼻腔の通りが悪い「鼻中隔湾曲症」の場合、鼻腔・副鼻腔間の換気がうまくいかず、細菌が繁殖して慢性副鼻腔炎になりやすいという。
「慢性副鼻腔炎は、急に症状が現れる急性副鼻腔炎と違って症状に慣れてしまい、受診するタイミングが遅れやすい。後鼻漏によって気管支炎が引き起こされると、咳や痰の症状が見られます。長引く炎症による嗅覚の低下は将来的な認知障害のリスクを高くさせる。また、鼻詰まりが招く睡眠の質の低下は、睡眠障害だけでなく生活リズムが乱れて糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病につながる恐れがあるので注意が必要です」
ほかにも炎症が副鼻腔の周囲に広がると、目が腫れて視力の低下を引き起こしたり、まれではあるが、脳に広がれば髄膜炎を発症させる恐れがある。
とりわけ近年は、白血球の一種である好酸球が過剰に活性化して副鼻腔炎を起こす「好酸球性副鼻腔炎」の増加も問題視されている。副鼻腔内にキノコのような鼻茸(ポリープ)ができるのが特徴で、一般的な慢性副鼻腔炎に比べて粘り気のある鼻水がたまったり重度の嗅覚障害を起こしやすい。気管支ぜんそくとの合併も多く報告され、治療に苦労しやすいことから国の指定難病にも認定されている。
合併症を防ぐには、早期の治療が肝心だ。 (つづく)