副鼻腔炎の治療は進歩している(1)慢性化して嗅覚が低下すると認知症リスクが高くなる
鼻水や鼻詰まりに悩まされる「副鼻腔炎」。国内の患者数は100万人以上とされ、放置するとあらゆる合併症を引き起こすリスクが高い。東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室教授の鴻信義氏に聞いた。
副鼻腔炎とは、鼻の穴(鼻腔)の周りにある左右4対の空洞(副鼻腔)に、炎症が起こった状態だ。
「ウイルスや細菌に感染したり、花粉やハウスダストへのアレルギーにより鼻腔の粘膜に炎症が起こると、粘膜が腫れて鼻腔と副鼻腔をつなぐ通り道を塞ぎます。粘液を外に排出できなくなって副鼻腔内に膿がたまると、鼻詰まりや粘り気のある鼻水、鼻水が喉に垂れ落ちる後鼻漏のほかに、頭痛や頬の痛みといった症状を引き起こすのです。通常は投薬などで1カ月以内に治まりますが、3カ月以上続く場合には『慢性副鼻腔炎』と診断されます」
慢性副鼻腔炎に移行する要因の一つに挙げられるのが、免疫力の低下だ。糖尿病患者や高齢者、抗がん剤治療を受けていると抵抗力が低下し、急性副鼻腔炎を繰り返して慢性化する。さらに、喫煙は鼻の粘膜が慢性的に刺激を受け、副鼻腔炎のもととなる細菌感染を起こしやすくする。