トリプルネガティブ乳がん…新たなメカニズムの薬の登場で診療はどう変わる?
■再発しやすく選択肢が少ない
トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプの乳がんと比較して転移・再発を起こしやすく、再発となると、だいたい術後5年以内に起こる。転移・再発が判明した場合、免疫チェックポイント阻害薬が適用するなら(注1)、免疫チェックポイント阻害薬と抗がん剤を組み合わせた治療が第1選択になる。免疫チェックポイントが適用しない場合には、抗がん剤を中心にした化学療法となる。
「新薬トロデルビは、転移・再発トリプルネガティブ乳がんの治療の第2選択となります。2つ以上の抗がん剤治療で効果が見られない場合に、トロデルビが使われます」
転移・再発トリプルネガティブ乳がんで2つ以上の抗がん剤治療歴のある患者529例を対象とした海外の臨床試験では、脳転移のない場合、抗がん剤単剤と比較して無増悪生存期間が約3倍、全生存期間が約2倍近く、有意に延長した(注2)。
「新薬と同じ抗体薬物複合体は他にも乳がんに対して開発が進められています」
今後はより治療選択肢が増えることが期待できる。
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注1 細胞の表面にタンパク質PD-L1が発現している場合、適用。
注2 無増悪生存期間とは治療中にがんが進行せず安定した状態の期間。全生存期間とは治療開始日から生存した全期間。