長寿研究のいまを知る(7)「老化細胞除去薬」開発のきっかけはがん研究だった

公開日: 更新日:

 Bcl-xLは、そのミトコンドリアのアポトーシス(自然の細胞死)を誘導する膜貫通物質。アポトーシス調整タンパク質のBcl-2ファミリーのメンバーで、ミトコンドリア内の内容物を細胞内に放出することで、抗アポトーシスタンパク質として作用する。UBX1325は、そのBcl-xLの強力な低分子阻害剤だ。

 ちなみに、ミトコンドリアは細胞内に数百~1000個ほどあるエネルギー産生工場として知られているが、アポトーシスの制御においても中心的役割を果たしていることがわかっている。

 ミトコンドリアは、外膜と内膜の2重膜で囲まれていて、内膜の内部にクリステと呼ばれる袋状構造がある。そのなかにアポトーシスの合図となるチトクロムCを隔離していて、アポトーシスが誘導されるとクリステの袋が開き、チトクロムCが外膜に開いた孔(ポア)を通ってミトコンドリアの外に出て、アポトーシスがスタート。ミトコンドリアが分裂して細かく断片化する。

「老化細胞除去薬がヒトに使えるようになるには、安全性が担保された上で、具体的な効果効能が示される必要があります。そのためには、まだまだ研究年数が必要になるでしょう。しかし、それらが担保され、具体的な効果効能が立証されることになれば、現在の治療法の概念を大きく変えることになるかもしれません」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末