長寿研究のいまを知る(7)「老化細胞除去薬」開発のきっかけはがん研究だった

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■すでに臨床試験もスタートしている

 このときの老化細胞除去薬は、具体的には老化除去効果のある2種類の分子を短期間に投与するというもの。ひとつはケルセチンで、紫タマネギにも含まれている。もうひとつは白血病の薬であるダサチニブだ。若い健康的なマウスに少数の老化細胞を注入すると健康と機能が失われるが、この2種類をマウスに与えたところ、老化細胞が除去されて寿命が36%延びたという。18年7月発表の「老化細胞溶解剤はマウスの老化細胞によって引き起こされる損傷を逆転させる」という論文で報告した。

「人間を対象とした老化細胞除去薬の臨床研究は18年に始まっています。変形性関節症と緑内障に効果があるかを調べるもので、両方とも老化細胞が蓄積している可能性が高いことから、期待されています」

 23年には、糖尿病性黄斑浮腫の患者を対象にした従来の標準治療である抗VEGF薬と、新たな老化細胞除去メカニズムを機序にしたBcl-xL阻害剤「UBX1325」とを比較した第2相試験もスタートしている。

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