救急搬送となった男性患者… 息子がその付き添いを拒んだ理由
ついては近くに住む息子さんと娘さんのうちどなたか、ご家族に病院までのサポートをお願いしたいと思い、ようやく連絡がついた息子さんにその旨、伝えたのでした。
しかし息子さんの対応は意外にも、病院には付き添えないというものでした。
後ほど、患者さんの担当ケアマネジャーさんに確認したところ、最近、患者さんは認知症の影響もあり以前に増して気性が激しくなり、ご家族が対応に手を焼いていたとのこと。
家族会議などで意見が合わないようなことがあった場合は、激高し、家のものをひっくり返してしまうようになった。息子さん、娘さんともどうしても患者さんとの関わりを避けるようになり、親子関係が悪くなっていったというのです。
そういえば、と思い出したのが、訪問診療での会話でした。心なしかしょんぼりした様子で、「昨日は家族会議で私が暴れてしまったから血圧が上がって苦しい」と話されていたのでした。
認知症の行動・心理症状(BPSD)の代表的なものの一つに、過度に怒りっぽくなる易怒性があります。これによってご家族との関係が悪化し、病院搬送時の付き添いなど簡単なサポートですら拒否されるようになることは、実は訪問診療の現場では珍しくはありません。