増加している早期乳がんは“切らない”治療で治す…再発率は切除と同等
そこで注目されているのがRFAだ。RFAは、全身麻酔下で医師が超音波画像で腫瘍の位置を確認しながら乳房に直径1~2ミリの細い電極針(ニードル)を刺入。針先を腫瘍に貫通させたら、AMラジオの周波数と同じ電流を流して、電磁波が発する熱で腫瘍の周囲3センチを焼き切る方法だ。
「通常の細胞と同様にがん細胞は、50度以上の熱で腫瘍組織にタンパク変性が起こりがんが死滅するといわれています。焼き残しがないようRFAでは電極針の温度を70度以上に上昇させ、約5~10分間加熱します。治療時間は1時間程度で、入院期間は2~3泊と短期間で済む。既存の手術に比べて術後の痛みや出血が少なく、切除しなくて済むので乳房の整容性も保てるメリットがあります」
これまで行われてきた臨床試験(RAFAELO試験)によると、術後5年間における乳房内の再発率は、標準治療の部分切除術と比較して同等であると報告されている。
■認定施設は全国80カ所以上
本臨床研究の代表者でもあり、これまで約350例以上のRFAを行ってきた木下氏は、「女性にとって乳房を取り除くショックは大きく、“どうにか切除だけは避けたい”と訴える方は少なくない。今回、胸を残せる治療の選択肢が増えた意義は大きい」と話す。